ショパンの先輩女子:マリア・シマノフスカ

これってショパンじゃないの!?

またまた魅力ある音盤ボックスを
見つけてしまいました。
「Grand Piano」レーベルから
リリースされたBOX
「女性作曲家の3世紀」(10枚組)です。
300年にわたる音楽史の中から
女性作曲家のピアノ曲を集めたという
素敵な企画です。
中でもCD5の
マリア・シマノフスカにはびっくり!
思わず叫んでしまいました。
これってショパンじゃないの!?

「女性作曲家の3世紀」

マリア・シマノフスカ:ピアノ作品集

マリア・シマノフスカ:ピアノ作品集

マリア・シマノフスカ:
 18の舞曲
  第1番 ポロネーズ ハ長調
  第2番 ポロネーズ ホ短調
  第3番 ポロネーズ イ長調
  第4番 ポロネーズ ヘ短調
  第5番 ワルツ 変ホ長調
  第6番 ワルツ イ長調
  第7番 ワルツ 変ロ長調
  第8番 ワルツ ヘ長調
  第9番 アングレーズ 変ホ長調
  第10番 アングレーズ 変ロ長調
  第11番 アングレーズ 変イ長調
  第12番 アングレーズ 変ホ長調
  第13番 コントルダンス 変ロ長調
  第14番 コントルダンス 変イ長調
  第15番 カドリーユ 変ホ長調
  第16番 カドリーユ ヘ長調
  第17番 マズルカ ヘ長調
  第18番 コティヨン 変イ長調
 24のマズルカ
 6つのメヌエット
  第1番:イ短調
  第2番:ト短調
  第3番:変ホ長調
  第4番:ト短調
  第5番:ホ長調
  第6番:ニ短調
 ジョゼフ・ポニャトフスキ大公
  お気に入りの民謡によるポロネーズ
 ポーランド舞曲
 コティヨン、または比喩的なワルツ

アレクサンダー・コストリツァ(p)
ナツミ・シバガキ(p:18の舞曲第7番)
録音:2014年

ショパンを彷彿とさせるのも当然です。
シマノフスカは
ショパンと同じポーランド生まれの
ピアニスト兼作曲家。
しかも1789年生まれですから
ショパンの先輩(ショパンは
1810年生まれ)です。
ピアニストとしては、
ヨーロッパ全土で精力的な
演奏旅行を行うなど、
ポーランド人としての
ヴィルトゥオーゾの先駆者でした。
また作曲家としては、
ピアノのために演奏会用練習曲や
夜想曲を作曲した
最初のポーランド人でもあり、
「ブリヤン様式」
(華やかさを伴って技巧的に
素晴らしさを表現するスタイル)による
作品は、まさにショパンの
先駆け的な雰囲気を湛えているのです。

18の舞曲は、最長で7分の曲ですが、
それ以外は長くても4分未満、
24のマズルカはすべて1分足らず、
6つのメヌエットも1曲3分前後、
残りの3曲も2~4分と、
小品ばかりの全51曲ですが、
そのすべてが宝石のように
キラキラとした輝きを放っています。
何とも愛おしい曲ばかりです。

年齢的には、後に生まれたショパンと
活動時期に重なりがあるはずと思い
調べてみると、やはりショパンは
このシマノフスカの演奏を
聴いたらしいのです。
ヨーロッパ各地での演奏旅行後、
1827年のワルシャワへの凱旋公演では、
若きショパンも彼女の演奏に
感銘を受けた一人との記録が
見つかっているようです。
正確なことは分かりませんが、
シマノフスカの
「演奏する作曲家」としての
活動スタイルは、
ショパンにも見られるものです。
ショパンが先輩シマノフスカに
影響を受けたとしても
不思議ではありません。
だとするとシマノフスカは、
ヴィルトゥオーゾ兼作曲家の
流行の嚆矢といえる存在なのです。

1789 Maria Szymanowska

こんな素敵な音楽が
これまで埋もれていたのです。
推察するに理由はおそらく「女だから」。
男性が幅をきかせていた当時、
彼女が他の男性作曲家以上の存在とは
見なされなかった可能性があります。
その意味で本盤が世に出たのは貴重です
(本盤以前にも数枚彼女の作品の
音盤が出てはいるのですが、
すべて廃盤状態のようです)。

本盤を収めたBOX
「女性作曲家の3世紀」は、
1774年生まれの
アンヌ=ルイーズ・ボイヴァン・
ダドンクール・ブリヨン・ド・ジュイ
(なんと長い名前!)から
1977年生まれの
タニャ・エカナヤカまで、
幅広く収録されています。
YouTubeにPR動画が公開されています。

Three Centuries of Female Composers

そのBOXが何と(10枚組を)
1947円で入手できました。
例のAmazon最後の数枚価格です
(単発盤も流通しているのですが、
そちらは1枚で2090円:
2023年2月4日現在)。
素敵な女性作曲家の音盤がまだ9枚!
じっくりと
愉しんでいきたいと思います。
やはり、音盤は愉し、です。

(2023.2.19)

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